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プロフィール

seikokoufukuron

Author:seikokoufukuron
榎 聖子
メンタルケア・アドバイザー
心理カウンセラー
上級心理カウンセラー
人の幸せって何だっけの疑問から34年、ようやくゴールしました。
様々な経験を積み、弱者に寄り添う姿勢は今だ変わりません。

連絡先
メール hijiriakita@gmail.com
ホームページ メールカンパニー聖

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プライド

幸子はヘルパー歴10年になるベテランヘルパーだった
しかし、ヘルパーの仕事を選ぶにも理由があった

幼少の頃、幸子の家は父親の事業の失敗で家族全員でどん底を見た

今日の食べ物があっても、明日の食べ物の保証はなかった
食うや食わずの生活だった

そんな幸子は学校へ行けず最終学歴が中学だった
中学校を出て働きに出るも、大病をし大学病院で療養生活を送った

気が付いたら36歳になっていた

中学卒業でまして30歳過ぎの職場は皆無に等しい
結婚はしたものの、薬を飲んでいるため子供は諦めた

食えない苦労、学歴がない苦労、病気になった苦労を味わった

残された道は、ヘルパーしかなかった

幸子は「私にだってプライドはある。どん底をみたのだから
後は上がるだけ」と信じた

ヘルパーで、ゴミ出し、掃除、買い物、病院の付き添い、話し相手など
ありとあらゆる仕事を経験した

仕事の苦労を金に変えて生きてきた

ある日の事、幸子の携帯がなった
誰だろうと思ったが、純也からだった

純也は幸子の友人で、高学歴で東京の一流企業で働いていたが
上司からのパワハラに耐えられず退職したと言う

そして、地元へ帰ってきて特養老人ホームに勤めた
いつものことながら、幸子へ自分の心中を打ち明けた

純也は「老人ホームの仕事は、汚い仕事ばかりで給料が安い
もうやめようと思う」という相談だった

幸子は「純也、プライドないのかよ。どんな仕事でも明日の飯が食える
と思えば、最高じゃん。人間、今がどん底と思えばあとは上がるだけだ
と思えば、必ず良いことがあるさ」と笑った

そして、幸子は言う「どんな苦しみ、悲しみに出会っても人間だと言う
プライドは捨てるなよ」と。

そう、幸子は過去の苦労を味方につけて生きている

恋の魔法

伸夫は小学生の頃、母が難病におかされ、父は心因性の病気で
親元では育てられないという理由で、児童施設へ入所した

初めのうちは慣れないせいか指導員の指示に従っていた

しかし、自由奔放な伸夫の事、規則や規律に縛られるのが苦痛になっていた

そして、中学の頃施設の脱走を考えた

夜みんなが寝静まったころ、玄関のカギをこっそりあけた
扉が開くと同時に、暗闇の中を走って逃げた

逃げながら、世の中は誰も助けてはくれない、自分は必要とされない
人間だと思うと、涙が出てきた

山を走り、森をぬけたら橋がかかっていた
橋の真ん中までくると、急にむなしくなり死にたいと思った
この橋から川へ飛び込むと、確実に死にだろうと思った

そんな時、施設では警察を巻き込んでの大騒ぎとなっていた
警察は行方を捜すが、施設では最悪のことが起きなければいいなあと案じていた

橋の真ん中に立つ伸夫にパトカーが見えた
施設に連れ戻されるのが嫌で、伸夫はあせった

伸夫は橋の上から川をめがけ飛び込んだ

しかし、川が浅瀬だったため、足にケガをしただけだった

そんな過去を持つ伸夫は40歳をとっくに過ぎてはいるが
ひょんなきっかけで「彼女」が出来たのだ
一緒にいると全てを癒してくれる、苦しみを忘れることが出来た

伸夫は「恋って不思議。人を好きになることがこんなにも幸せなことだったんだ
生きてみるものだ、魔法にかかったみたいだ」とはにかんだ

恋愛経験を味わった伸夫の心の中には、希望や胸がおどるときめきに
満ちていた

そして、いつかは結婚して家庭を持ちたいと思った

ヤングケアラー

それは、真紀が中学1年生のとき、祖母の死去から始まった

真紀の家では両親が共働きで、祖父と幼い兄弟がいた
真紀が大好きな演劇部をやめて、祖母の代わりに祖父と
兄弟の面倒を見ることになった

毎朝4時に起床し、両親と兄弟の弁当作りと朝食づくり
それが終わると洗濯、掃除をやり、学校へ行く

学校へは行くが、朝からの家事で疲れ果てては、居眠りをしてしまう
授業に身が入らないのだ

学校が終わるとすぐに家路につく
夕食の買い物、夕食作り、祖父の世話、兄弟の勉強を見る

しかし、真紀は家の事情を恥ずかしくて周囲の人には言えなかった

時折、クラスの友人にお茶に誘われるが、すべて断った
そんな真紀を友人は不思議に思い、いつしか
「真紀って、付き合いがわるいよ」と悪評が立っていた
日に日に、クラスの友人から距離をおかれるようになっていた

真紀は、好きでやっている訳ではない、なぜ私だけと苦しい
感情が芽生えていた

祖父の世話もあってか、学校へ行くことが困難になっていた

真紀は、学校と家事の両立で疲れ果てていた

ついに、中学2年生で不登校となった

しかし真紀は、そんな苦しみ、惨めさを両親に打ち明けることはなかった

学級担任から電話があっても、家で家事手伝いをやっていることは言えなかった

友人からのメールにも、本当のことはかくせざるおえなかった

真紀は一人で泣いた
追い詰められた苦しみ、誰にも気づかれない惨めさだった

でも、真紀はそんな生活に耐えた
誰の為でもない、自分のためと頑張った
これが、自分に与えられた道だと思った

そして数年後、祖父が亡くなり、両親は退職、兄弟も自立した

真紀には、学校は不登校ではあるが、家事や料理のノウハウが残った
その経験を生かして「○○家事代行サービス」を立ち上げた
真紀には辛く苦しい時期もあったが、その経験が花を咲かせた

真紀は、遅咲きの春を満喫している

一人っ子

康夫は産まれてから、両親の愛情をたっぷり注がれて育った
小、中、高校と何の不自由もなく育った

しかし、兄弟という存在を知らず、一人というのはただ漠然として
そんなものだろうと思っていた

また、兄弟がほしいとは一度も思わなかった

高校1年のある日、同級生の和幸の家に遊びに行った
和幸には、妹2人という兄弟がいた

康夫は和幸の家に上がると「これが俺の妹、兄弟だよ」と紹介された

しかし、康夫はまだ、しっくりとはこなかった

昼食時間になると、和幸の妹がラーメンを作ってくれた
3時のティータイムにはコーヒーと、妹の手作りケーキをごちそうになった

康夫はラーメンの味も、ケーキの味も格別においしい気がした

そして、なぜか兄弟がいる和幸を羨ましく思えた

家路につくと、一人っ子の自分を惨めに感じた

夕食の席で、康夫は両親を前に「今日、和幸の家に遊びに行ってきた
妹達がいてラーメンやケーキを作ってくれた。おいしかったのもあるけれど
羨ましかった。俺にも兄弟がいたらなあ」とつぶやいた

康夫は、兄弟の価値に気が付いたのだ

そして、康夫は「結婚したら、自分の子供には兄弟という財産を
残すぞ」と心に決めた

福祉の神様

秀夫は大手製薬会社の営業マンであった

毎日の仕事、残業、毎月のノルマ、医者の接待で疲れ切っていた

そんなある日の事、ストレスを発散させようとパチンコ屋へ出かけた
パチンコ屋の入り口で、同級生の環とばったり出会った
環は福祉の仕事をしているせいか、明るい性格でおうようであった

秀夫はそんな環を羨ましいと思った

秀夫は環に仕事上の悩み、ストレス、人間関係のわずらわしさを打ち明けた

普通であれば「男のくせに」とか「定年まで頑張れ」というと思った

しかし、環は「福祉の世界はいいぞ」と一言

秀夫は環がなにを言わんとしているかが、飲み込めなかった
秀夫は「福祉の何がいいんだ」と切り返す

環は「自分の目で見て、体で触れて経験することだね」と笑った

そんな話をしながら家路についた

秀夫はその夜「福祉の世界か。転職したほうがいいのかなあ」と悩んだ
転職したら、収入は大幅に減る覚悟、福祉の世界が合わないからと言って
戻れない覚悟は考えた

福祉の神様は微笑んでくれるのだろうかと不安がよぎった

そこへ環からのメールがあり「思いきれ。男だろ、福祉の世界へようこそ」とあった
秀夫は決心がついた

今月限りで製薬会社を辞めて、福祉の業界へ進むことにした
転職先は、障がい者福祉団体と決めた

出勤当日、本当にサラリーマンが福祉を理解できるのか不安だった

しかし、そんな不安はすぐに解消した

障がい者である子供たちの明るさ、無邪気な笑顔、そして何よりも
一生懸命に生きようとしている姿があった

サラリーマン時代の仲間との競争、派閥争い、パワハラやいじめは
何だったのだろうかと秀夫は考えた

秀夫は目の前にある平等、公平そして人間愛を感じた
そして「福祉っていいなあ」と心の底から思った

秀夫の第二の人生に、福祉の神様は微笑んだのだ